Ⅰ.命は海から

1.生命の誕生

地球は、四十六年前に太陽系のほかの惑星と一緒に誕生。それから十億年後、原始の地球上の空気は、二酸化炭素、アンモニア、メタン、水素などの水蒸気に覆われ、それらの元素が雨となって降り注ぎ、海中に溶け込んだ。

そして無機物の元素が太陽の光、雷、放射線などのエネルギーによって、海の中で漂っていたアミノ酸や核酸が互いに反応し、地球上に生命体が誕生したという。

誕生したばかりの微生物はすべて単細胞であったが、やがて海の中に漂う有機物を利用して自分で栄養を作りだす光合成が始まり、無機物の二酸化炭素と水から炭水化物を作り出すことが可能になってくる。この際に酸素が放出され、やがて酸素を利用してエネルギーにする核をもった細胞が誕生、単細胞同士が合体して多細胞生物に進化していったのである。

生命の誕生には、このような「原始海洋起源説」のほかに、「地球外起源説」などが考えられている。1965年にオーストラリアのマーチソンに落下した隕石から、グリシン、アラニン、グルタミンといった数多くのアミノ酸が見つかったことから、宇宙に生命体が存在したという証拠ではないかと考えられている。その後の研究で、地球から5500光年離れた、宇宙空間に生命を構成するアミノ酸のもととなる物質が発見されたことで、地球以外の星にも生命が存在する期待が高まっている。

ひとの身体は60兆個の細胞で成り立っており、数十万から数百万のアミノ酸が長い鎖のように繋がった、たんぱく質でつくられている。細胞のひとつひとつに、同じ性質を伝えるために遺伝子のDNA (デオキシリボ核酸)をもっている。二十種類のアミノ酸を組み合わせた遺伝情報が書き込まれた「いのちの設計図」である。

地球上の生き物にはアミノ酸は不可欠な存在であるが、有機物のアミノ酸が単独では生命活動を支えることはできない。それには無機質のミネラル「塩」の助けが必要である。遺伝子DNAは、活性酸素などの有害な物質に傷つけられやすく、絶えず遺伝子の酸化と損傷を修復する体内酵素の働きで守られている。

酵素は、生体内で起こる化学反応に対して触媒として機能する細胞内でつくられるたんぱく質の分子で、生命活動に応じて、DNAが必要な酵素を設計する。

命を支えている、その酵素は、アミノ酸とミネラルでつくられている。()アミノ酸とミネラル(塩)の深い関係が、いのちを維持し身体を整え、食べものの味を創る源泉となるのだ。塩の物語は、ここから始まる。

 

2.内なる海

海という漢字は、ひとの母なる水を表し、海・産み・生みはともに発音が同じで共通の意味を持っている。仏教にも「すべての如来の寿命は海中にあり」という言葉があるように、地上の命あるものは、すべて海から生まれていることを表している。

また、西洋で健康を表すラテン語Salusは塩Saltに語源を持つ言葉で、塩は健康によいSalutaryという意味に通じているといわれる。

5億年前に脊椎動物の先祖が誕生し、4億年前に海から陸地にあがってきた。このとき生命を維持するのに必要な外部環境であった海水を身体の中に抱きかかえて上陸してきた。それがいのちを育む「内なる海」である。

1912年、フランスの学者、ルネ・ケントンは、いのちが内なる海で維持されていることを証明しようと、海水性の無脊椎動物と淡水性の無脊髄動物を使って、観察と実験を行い、三つの法則を発見した。

1.生命発生時の海の成分を保とうとする法則

2.生命発生時の海の温度を体温として保とうとする法則

3.生命発生時の海の濃度を保とうとする法則

この法則から生物体の血液と海水と海水のミネラル成分が非常によく似ていることを立証し、「生物体は内側に体液という海水をたたえ、細胞という魚群の泳いでいる養魚槽のようなものである」と内なる海を表現している。

内なる海を提唱したルネ・カントンは、すべての病気は、体内環境のミネラルバランスの乱れから起こる。ミネラルバランスを整えれば、病気が治り、健康が維持できると、その答えを生命が発生した古代原始の海の古代海水に求めた。

現在では、デポン紀の原始の海の海水と、現在のひとの体液のミネラル組成はほとんど一致していることが定説となっている。ひとが誕生する受精・受胎・懐妊・出産の過程は、すべて子宮の中で行われるが、母親の胎内で胎児が浮かんでいる羊水には、原始の海と同じ組成のナトリウム、塩素、カリウムなどのミネラ素を含まれているという。細胞が内なる海という体液の中に浮いている生命体は、細胞の外部環境である体液のミネラルバランスの崩れや化学物質の汚染により、病気を招く原因になると考えられているからである。

「内なる海」の発想は、“自然塩”こそ「ひとの食べる塩」だと主張する自然塩支持の理論的な拠りどころであり、かつての自然塩復活運動の原動力となっていた。

 

3塩は酵素のパートナー

長い進化の過程を経て、体内に「内なる海」を保持して上陸した海の中の生物にとって、大気の酸素やオゾン、紫外線、放射能は生命を脅かす存在であった。

それらは活性酸素の発生源となり、生命活動に必要な酵素を設計する細胞内の遺伝子DNAを傷つけるので、たえず遺伝子の酸化と損傷を修復する体内酵素の働きで守る仕組みが備わっている。それが活性酸素を分解・解毒する、抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)である。酵素は、タンパク質と亜鉛、鉄、セレンなどの微量ミネラルからできており、有機物や無機物を取り込み、生命維持に必要なさまざまな化学反応に対して触媒として機能するタンパク質の分子である。

酵素の働きは、植物の種が発芽して成長し花が咲いて実になる、卵が孵化しヒヨコが鶏に成長するのは、DNAに刻まれた情報がつくる酵素の働きによるものである。

生命を守る体内酵素には、大きく分けると「消化酵素と「代謝酵素」、そして食物に含まれる「食物酵素」の三つの酵素がある。

食べ物の消化には、胃液や胆汁に含まれる塩酸や重炭酸ナトリウムが関わっているが、それを吸収するには、炭水化物をブドウ糖にかえるアミラーゼ、たんぱく質を分解するアミノ酸、脂肪の分解にはリパーゼという消化酵素が働いている。運動、呼吸、脳の活動、それに自己免疫力と、ホルモンなど、生命活動のあらゆるところで代謝酵素が働いているのである。

消化酵素によってつくられた栄養素と肺から取り入れた酸素が細胞に運ばれ、細胞内のミトコンドリアで酸素を燃焼して生命に必要なエネルギーがつくられる。それを身体の中で働かせる役割を持っているのが代謝酵素である。

このように生命活動に必要な酵素は5000以上といわれ、ひとつの酵素にはひとつの働きしかしないという特性がある。化学薬品、人工添加物、農薬、炎症、たばこなどの解毒に大量の体内酵素が不足すると、身体の恒常性が保てなくなり、細胞の再生や修復が上手くできなくなるため、ホルモンのバランスや免疫力が低下していく。

そのためには消化酵素を節約し、代謝酵素の量を増やすこと、代謝酵素の働きをサポートする「食物酵素」の力を借りることが大切となる。食物酵素が豊富に含まれている、新鮮な生の野菜や果物、刺身、玄米、また納豆や味噌などの発酵食品の摂取により、体内の消化酵素を補う必要がある。体内酵素が働くには、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル(塩)は欠かせない存在で、それがなければ体内酵素が効果的に触媒の役割を果たない。クルマの両輪のように、ミネラルは酵素の働きをサポートする重要な役割を担っている。

それゆえに栄養的にミネラルは、ビタミンと並んで酵素を助ける「補酵素」と呼ばれている。血液の鉄分は、ヘモグロビンという酵素によって身体に必要な酸素が供給される。補酵素は、化学反応に欠かせない物質である。

 

 

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増田 幸右 について

1964-1968 武蔵野美術大学 グラフィックデザイン科卒業 1968-1994 広告代理店電通入社 クリエーティブ・ディレクター 2002-2004 立教大学大学院 修士課程 2003-2008 (株)GN21 経営コンサルタント 2007-2010 浦安図書館ボランティアBCU会員 2010-2014 企業ブランドアドバイザー 2006-2014 日本海水学会員
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